なぜそうなるか
「電気代が安くなります」の電話や訪問で、検針票の番号を聞かれたら——国民生活センターは「切り替え検討の意思が無ければ検針票の記載情報は伝えないようにしましょう」と書いていました
夕方、知らない番号から電話がかかってきます。出てみると、電気代が安くなるという話でした。今の電力会社の名前を出されたので、つい聞き入ってしまいます。
話の終わりに「お手元の検針票の番号を教えてください」と頼まれました。番号を言うだけなら、まだ契約したことにはならない気もします。相手は丁寧で、急かす様子もありません。
アパートのドアをたたく訪問でも、似た流れがあるようです。管理会社の名前が出てくると、断りにくさはさらに増します。
新しい電力会社と契約する前に何を確かめるかは、前の記事で資源エネルギー庁の案内から読みました。こちらは、その前の段階の話です。自分から探したのではなく、向こうから勧められたときのことです。
勧誘をきっかけにした相談は、国民生活センターがくり返し公表しています。今回開いたのは、2018年12月20日の「電話勧誘での電気の契約切り替えについてトラブルが急増しています」と、2024年12月6日の「電気・ガスの契約トラブルにご注意!」の2つの頁です。
この記事では、2つの頁の文を2026年9月27日の時点のまま引きます。どの電力会社と契約するか、今の契約を続けるかどうかは、この記事では決めません。
・電話のあと、契約したつもりがないのに電力会社が切り替わっていた相談があった(2018年)
・今の電力会社を名乗る電話で契約番号を聞かれ、その会社は「一切していない」と答えた事例がある(同)
・「管理会社から委託を受けた」という訪問で切り替えたが、委託はなかった事例がある(2024年)
・切り替えるつもりがなければ、検針票の情報は伝えない(2018年のアドバイス)
・切り替えたあとでも、クーリング・オフ等ができる場合がある(2018年・2024年)
電話のあとで、何が起きていたの?
電話で話を聞いただけなのに、契約が変わることなんてある?
2018年の頁の書き出しは、こうです。
契約している小売電気事業者とは別の会社から電話があった後、契約したつもりはないのに電力会社が切り替わっていた等、電話勧誘をきっかけとした電気の切り替えに関するトラブルの相談が急増しています
同じ頁は、「電気料金が安くなる」と言われて資料を頼んだつもりが、いつの間にか契約が切り替わり、解約料を求められたという相談も挙げていました。本人は切り替えを決めたつもりがなかった、という点が共通しています。
今の電力会社を名乗られたら、信じていい?
いつもの電力会社からの電話なら、番号を言っても大丈夫だよね?
事例の電話は、相談者が契約している会社の名前で始まります。
契約していた大手電力会社を名乗るところから電話があり、「余った電力を安く買いとり、安く電力を供給している。契約番号を教えてほしい。」と言われ、
相談者は不審に思わずに番号を伝え、折り返しの電話で復唱も求められました。不安になって本物の会社に問い合わせた結果が、こちらです。
契約していた大手電力会社に確認したところ、「契約番号を聞くような電話は一切していない。」と言われた。
その後、相談者のもとには見知らぬ電力会社から手数料の請求書が届いた、と事例は続いていました。
訪問で「管理会社の委託」と言われたら?
管理会社に頼まれて来た、と言われたら断りにくいけど……
2024年の頁の事例は、見出しがそのまま筋書きになっていました。
「管理会社から委託を受けた」と言われて電力の切替契約をしたが、管理会社は委託していなかった
中身は、アパートへの訪問から始まります。
事業者がアパートに訪問してきて、「管理会社から委託を受けた」と電力の切替を勧められた。管理会社の委託だと思って切替を了承し、供給地点番号等の必要な情報を伝えた。
この頁によると、若い世代では訪問販売の相談が多く、ほかの年代では電話勧誘も一定の割合を占めていました。相談は年明けから春先にかけて増える傾向があるとも書かれています。引越しで新しい部屋に入る時期と重なります。
番号を聞かれたら、どう答えればいい?
検針票の番号を聞かれたときは、どうすればいいの?
2018年の頁が消費者へのアドバイスとして並べた行から、2つを引きます。
電気の契約切り替えについて電話があった場合は、事業者名を確認するとともに、自らの意思を明確に伝えましょう
切り替え検討の意思が無ければ検針票の記載情報は伝えないようにしましょう
番号を聞き出す口実は、料金の話だけではありません。同じ頁は、こんな相談も挙げていました。
契約の切り替えを勧誘する事業者から、スマートメーターの設置名目で契約情報を聞き出された
2024年の頁のアドバイスも、断り方については同じ向きでした。
料金プラン等の説明を受けたうえで検討し、契約の意思がない場合は、はっきりと断りましょう。
もう伝えてしまったら、どうなるの?
番号を言ってしまったあとでも、取り消せる?
同じ趣旨の一文は、2つの頁のどちらにもあります。2024年の頁の書き方はこうです。
切替契約後でもクーリング・オフ等ができる場合があります。
書き方は「できる場合があります」でした。どんな場合にできるのかの細かい条件は、この2つの頁の本文には書かれていません。困ったときの相談先として、2つの頁は消費者ホットライン「188」と、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口を挙げていました。
この記事で確認したこと
・電話のあと、契約したつもりがないのに電力会社が切り替わっていた相談が急増していた(国民生活センター・2018年12月)
・今の電力会社を名乗る電話に番号を伝えたが、その会社は「一切していない」と答えた事例(同)
・「管理会社から委託を受けた」という訪問で供給地点番号等を伝えたが、委託はなかった事例(同・2024年12月)
・切り替えを検討する意思が無ければ、検針票の記載情報は伝えない(2018年のアドバイス)
・切替契約後でもクーリング・オフ等ができる場合がある(2024年のアドバイス)
よくある質問
検針票には、どんな番号が書かれているのですか
今回読んだ2018年の頁は、検針票の「記載情報」と書いていて、1つずつの項目名までは挙げていませんでした。2024年の事例には、訪問した事業者に「供給地点番号等の必要な情報」を伝えたとあります。手元の検針票のどの欄がそれに当たるかは、契約している電力会社の案内で確かめてください。
電話の相手が本当に今の電力会社かどうかは、どう確かめればよいですか
2018年の事例の相談者は、電話を切ったあとで、契約している大手電力会社に自分から確認していました。2018年の頁のアドバイスも、事業者名を確認するよう書いています。
切り替えを勧めてきた会社が、登録された事業者かどうかは気にしなくてよいのですか
今回読んだ2つの頁は、勧誘のときのやり取りを扱っていました。登録を確かめる手順は、前の記事で資源エネルギー庁の案内から読んでいます。
この整理が変わる条件
- 国民生活センターが、今回読んだ2つの頁を改めた場合や、新しい注意喚起を出した場合(本記事は2026年9月27日に読んだもの)
- 電力の小売や勧誘についての決まりが変わった場合
- 検針票に載せる項目や、切り替えの手続きの仕組みが変わった場合
出典
- 国民生活センター「電話勧誘での電気の契約切り替えについてトラブルが急増しています-切り替える意思が無ければ、検針票に記載された情報は伝えないようにしましょう-」(2018年12月20日公表) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20181220_4.html
- 国民生活センター「電気・ガスの契約トラブルにご注意!-若年層は訪問販売、それ以外の年代は電話勧誘販売の相談が見られます-」(2024年12月6日公表) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20241206_1.html
勧誘の電話を切ったら、検針票はしまったまま、契約している電力会社の連絡先を自分で調べて確かめてください。
当方が上の出典を引いて確かめた日: